離婚時の財産分与について知っておくべきこと

離婚時の財産分与とは、夫婦の財産を離婚によって分割することを言います。法律上は、夫婦の財産は共同所有とされており、その分割には原則として平等分割が適用されます。
ただし、実際には財産の分割は離婚した夫婦間で話し合いが行われることが多く、具体的には以下のような手続きが必要になる場合があります。今回は、離婚時の財産分与について知っておくべきことをご紹介します。

■財産目録作成

財産目録とは、離婚において財産分与の対象となる夫婦共同の財産を明らかにするための書類のことです。財産目録には、以下のような項目が含まれます。

・財産の種類：不動産、預金、株式、保険契約など、財産の種類を具体的に記載します。
・所在地や番号：不動産の場合は、土地や建物の所在地、登記簿上の番号などを記載します。預金や株式の場合は、金融機関や証券会社の名称や口座番号、保険契約の場合は保険会社の名称などを記載します。
・取得時期や方法：財産がいつ、どのような方法で取得されたかを記載します。
・価格や評価額：財産の価格や評価額を記載します。不動産の場合は、土地や建物の評価額、預金や株式の場合は現在の評価額、保険契約の場合は現在の保険金額を記載します。

財産目録は、離婚の申し立て前に作成することが望ましいです。夫婦共同の財産を明らかにすることで、財産分与において争いが生じることを防ぐことができます。また、財産目録には、裁判所が判断する際に必要な情報がすべて含まれているため、財産分与の手続きを円滑に進めることができます。

■分与協議

離婚時の財産分与において、配偶者同士が話し合いをして合意することを「分与協議」といいます。分与協議は、離婚の原因や状況によって異なるため、個別のケースに応じた対応が必要となります。

分与協議では、財産分与の原則や方法、分与する財産の種類、分与比率などを話し合います。原則として、離婚する前に取得した財産や収入は、夫婦共同財産とされ、離婚後に取得した財産や収入は、その配偶者個人のものとされます。

具体的には、配偶者がもっている財産や収入を明確にし、それらを分配するための比率や方法を話し合います。分与比率は、半分ずつ分けるのが一般的ですが、その他の比率で分配することもできます。また、分与する財産には、不動産や株式、現金、預金などがあります。

分与協議がまとまった場合は、その内容を書面にまとめ、両者の署名押印をすることで成立します。ただし、分与協議がまとまらない場合は、裁判所に財産分与を申し立てることになります。

財産分与の請求には、離婚訴訟において主張する方法と、調停による方法があります。

まず、離婚訴訟において財産分与を請求する場合、原告が訴状に分与請求の内容を明示し、被告がそれに対して回答することによって、請求が争われます。争いの内容に応じては、裁判所が鑑定人を任命して財産の評価を行い、それを基に分与の金額を決定することがあります。

一方、調停による財産分与の請求の場合、離婚裁判所に調停を申し立てて調停委員による話し合いを行い、合意が成立すれば調停調書に基づいて財産分与の内容が決定されます。調停による財産分与は、訴訟よりも手続きが簡便で費用が安く済むため、多くの場合は調停による財産分与が選ばれることが多いです。

ただし、調停による財産分与でも、合意が成立しない場合は、訴訟に移行することになります。

以上が、離婚時の財産分与についての手続きとなります。ただし、離婚における財産分与は、夫婦の事情によって大きく異なるため、専門家に相談することをおすすめします。

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